CATシリーズLinuxボードの特長

CAT709(SH3搭載linuxボード)は2003年発売開始以来ロングセラーを続けている組込みLinuxのスタンダード製品です。2006年には高性能の兄貴分「CAT760」のラインナップを追加し、両ボードともいち早くカーネル2.6へ完全対応を行いました。

このページではCAT709, CAT760シリーズの人気の理由を、組込みlinuxボード選定のポイントの観点からご紹介いたします。

組み込みlinuxボード選定のポイント

ハードウェア編

  • Rohs対応
    • まずはCAT709から鉛フリーRohs対応になりました。CAT760も順次対応予定です。
  • コネクタ配置の自由度
    • CAT709,CAT760を頭脳部分として使い、実際の外部I/O端子台やコネクタをベースボードへ実装するとなると、コネクタの向きはとても重要です。工業製品を作るうえでコネクタの向きは使い勝手を大きく左右します。CAT709, CAT760ではあえてCPUボード上にケーブルコネクタを設けていません。自由な設計をおこなってください。また、EB709, EB760をそのまま製品に用いていただく場合も、コネクタを一列に並べていますのですっきりとした背面レイアウトが可能です。
  • 高密度多層基板
    • ノイズの影響を受けにくい/与えにくい多層基板を採用しています。
  • 回路図公開
    • ベースボードEB760, EB709は完全な回路図を公開しています。回路図を参考にしてユーザー様にてベースボードを容易に構築いただけます。CAT709, CAT760もほぼ回路図に匹敵するほど詳しいブロック回路図を添付しています。メモリマップ、割り込み番号一覧などの詳しいハードウェア資料が添付されています。
  • DC/DCコンバータ搭載
    • EB709,EB760は5V単一電源です。CAT709, CAT760は3.3V単一電源で動きます。EBシリーズのベースボードは、5V→3.3V変換に発熱量の大きいレギュレータICは用いずDC/DCコンバータを搭載しています。さらにCAT760ではCPUの内部電源(1.7V)を作るためにもDC/DCコンバータを搭載し、低発熱・低消費電力に貢献しています。
  • バッファリングされたバス
    • 全てのアドレスバス、データバス、信号線が74LV245相当のバッファを通してコネクタに出力されています。CPU基板の外部へのアクセスが無いときは3stateゲートが閉じておりベースボードのバスはプルアップされただけの静かな状態です。これによって不要な電磁波の放射を防ぎます。
    • 上記と重なりますが、CATシリーズlinuxボードでは、アドレスバス、データバス(16bitバス)がコネクタに出ていますので外部にメモリやLSIを増設することが容易です。
  • SRAM
    • バッテリーバックアップされた512KbyteのSRAMが搭載されています。FLASH ROMへ書き込むわけにいかないデータの保存領域として使用できます。SRAMは「メディア」としてフォーマット、マウントしてファイルを保存する使い方もできますし、また「メモリ領域」としてC言語からポインタ参照で書き込む使い方も出来ます。
  • 時計IC
    • セイコーエプソン製の時計ICが搭載されています。
  • GPIO
    • GPIO(汎用入出力I/Oピン)の数は大いに越したことはありません。CAT709で33本CAT760で42本(液晶パネル接続時は18本)の豊富なI/Oポートが使えます。

ソフト編

  • ROM化
    • CATシリーズのlinuxは、「ROM化」されています。シャットダウンせず電源をいきなり遮断しても大丈夫です。
    • 完全にROM化されていると、ファイル一つ書き換えるのもROMイメージの作り直しという作業が必要になりますが、CATシリーズに搭載されてる SiliconLinux では rommode コマンドで動作中にROM化状態(rw状態)、ファイル編集状態(ro状態)を簡単に切り替えることが出来ます。
    • rw状態では通常のパソコンと同じくファイルの編集、書き換え、削除ができます。ro状態にするとその状態でROM化されますので電源を遮断しても大丈夫な状態になります。
    • FLASH ROMイメージをコンパクトフラッシュのファイルへバックアップすることができます。またCATボード自身でFLASH ROMへ書き戻すこともできます。量産出荷時にROMライターとしてのJTAG ICEは必要ありません。CATボード自身でFLASH ROMイメージのアップデート(焼き直し)ができます。
  • 出荷後も安心。FLASH ROMの書き換えが容易
    • 出荷後、お客様の現場に JTAG ICE デバッガを持っていってFLASH ROMの焼き直しをするなんてナンセンスですよね。CAT709, CAT760なら、CFにROMイメージデータ・ファイルを保存しておき、FLASH ROM のアップデートが出来ます。出荷後も安心です。

開発環境編

  • 開発CDROM標準添付
    • EK709,EK760には開発環境としてお勧めの coLinux が含まれています。お使いのWindowsパソコンの環境をそのままに、coLinuxでアプリケーションの作成が出来ます。付属のCDROMに必要なものが全て含まれています。
  • SWEETを使うとさらに便利に
    • SWEETは「unixのコマンドタイプが苦手だ」「gcc, gdb は便利だけど使い方が難しくて」という方のご要望にお応えする、Windows上でLinuxアプリの開発デバッグができるツールです。SWEETがあれば難しいことは何もなくなり、組み込みLinuxが初めてという方でも安心してすぐに製品開発を行っていただけます。
      SWEETについてはこちら

なぜ選ばれるのか

組み込みLinuxボードは多種がリリースされていますが、CATシリーズLinuxボードがロングセラーを続けている理由を一つあげるとしたら、『開発元のシリコンリナックス社は単に基板を提供するメーカではなく、 最大のCATボードユーザであること』であるからと考えます。

設計者が自分達で実際にCATボードを使った製品開発をすることで、CATボードのユーザの視点に立ち、使いにくいところは改善し、常に使いやすい機能、便利な機能、安定したOSを求め続けています。

どうぞCATシリーズLinuxボードを末永くよろしくお願いいたします。