ブートローダマニュアル ○基本説明 ・カーソルキーの上矢印キーを押すと直前に実行したコマンドが表示されます。 押す度に、過去に入力したコマンドが新しい順に履歴表示されます。(20個まで) ・カーソルキーの下矢印キーを押すと使用可能なコマンドが表示されます。 押す度に、help − boot − config .... setbootkey と全てのコマンドが順番に表示されます。 ・コマンドは大文字、小文字を区別しません。 ・ファイル名は指定する場合(コピー元、読み込みファイル名など)は大文字、小文字を区別しません。 ・ファイルを作成する場合(コピー先など)、入力した文字をそのまま採用します。(大文字、小文字変換はしません) ・全角文字はサポートしていません。全角を含むファイルへはアクセス出来ません。 ・日付以外の数値は全て16進数です。 ○メディアについて ・メディアの種類 1.FAT16、FAT32、フォーマットのコンパクトフラッシュディスク ※ルートディレクトリのファイルのみ。サブフォルダをサポートしません。 2.EXT2、フォーマットのコンパクトフラッシュディスク ※読み込みのみサポート、書き込みは出来ません ※サブフォルダ、シンボリックリンクをサポートします。 3.内臓フラッシュROM 内臓フラッシュROMは3つのパーティションに分割されています。 ブートローダプログラム中では、それぞれのブロックを1つのファイルとして扱います。 boot(MTD0) kernel(MTD1) zimage(MTD1) rootfs(MTD2) all(MTD) ファイル kernel は zimage のエイリアスですので、同一です。 ファイル all は内臓フラッシュROM全体をさします。 ※ファイル名は変更できません。 4.RAMディスク(内臓メモリの空き領域をRAMディスクとして使用) ・表記(ファイル名の表記) ファイルを選択したり、指定する場合のファイル名の指定方法は media:filename メディア名 + ':' + ファイル名で表記します。 メディアには、cf、rom、ram、の3種があり、cfは後ろに数字を付加し、ソケット番号を指定できます。 1.コンパクト フラッシュ ソケット に挿入されたディスク cf#: #は0〜3のソケット番号(CAT760は0、1) 0は省略可能 例:ソケット1に挿入されたコンパクトフラッシュのファイル zImage cf1:zimage 2.内臓フラッシュROM 各パーティション( MTD0 / MTD1 / MTD2 )をファイルとして扱います。 ブート領域(MTD0)をファイル boot としてアクセスします。 例: rom:boot カーネル領域(MTD1)をファイル kernel または zimage としてアクセスします。 例: rom:kernel rom:zimage ルートファイルシステム(MTD2)をファイル rootfs としてアクセスします。 例: rom:rootfs 3.RAMディスク 内臓メモリの空き領域をRAMディスクとして使用できます。 ファイルの一時的な置き場所(テンポラリ)として使用します。 例: ram:zimage ○EEPROMに保存されている情報について EEPROMには書きに示す内容が登録されています。 現在の登録内容は コマンド config で確認できます。 ・リナックス カーネル起動パラメータ コマンド setparam で登録できます。 パラメータの内容については、「○リナックス カーネル起動パラメータ」を参照して下さい。 ・ブートキー リナックスの自動起動をする際に使用するリナックスカーネルの保存先が登録されています。 コマンド setbootkey で登録します。 rom、cf0、cf1、cf2、が指定できます。 ・カーネルサイズ 内臓フラッシュROMのMTDブロック1のサイズ(パーティションサイズ)が登録されています。 コマンド setkernelsize で登録します。 ・マックアドレス MACアドレスが登録されています。 コマンド setmac で登録しますが、実行にはパスワードが必要です。 ○電源投入時のLinuxの自動起動 CPUボード上のディップスイッチの1をONにしておくと、電源投入後、予め登録しておいた条件に したがい、Linuxを自動起動します。 ※自動起動OFFの状態で、ブートローダプログラムから boot と入力することと等価です。 ※現在のブートキーやカーネル起動パラメータはコマンド config で確認できます。 ・カーネルの決定 登録されているブートキーに従い、リナックスカーネルを決定します。 1.ブートキーに rom が登録されている場合。 内臓フラッシュROMのMTD1に保存されているカーネルを起動します。 2.ブートキーに cf0、cf1、cf2、が登録されている場合。 指定された番号のソケットに挿入されているコンパクトフラッシュに保存されているカーネルを起動します。 このときのファイル名は、ルートディレクトリのファイル zimage 固定です。 ※ディスクがEXT2の場合はシンボリックリンクが使用できます。 ・カーネル起動パラメータ 登録されているカーネル起動パラメータを読み込み、リナックスカーネルに渡します。 ・ルートファイルシステムの決定 リナックスカーネルは、起動の際、起動パラメータの root= に指定された場所のルートファイル システムを/(ルート)にマウントします。 ○リナックス カーネル起動パラメータ 初期出荷時は console=ttySC0,115200 root=1f02 ro rootfstype=jffs2 が登録されています。 ※現在のカーネル起動パラメータはコマンド config で確認できます。 ・「root=」はカーネルが起動時にルートにマウントするファイルシステムです。 1f02:内臓フラッシュROMのルート ファイル システム(MTD2)がマウントされます。 0301:Hda1のルート ファイル システムがマウントされます。 CATボードの場合 ソケット0(CF0:)がHdaです。 ○Linuxを起動する コマンド boot でリナックスの起動が出来ます。 ・書式 boot [kernel parameter] kernel: ロードするカーネルファイルを指定できます。 例: boot cf:boot/zimage 省略可能です。省略した場合 parameter も指定できなくなります。 省略した場合のファイル名は zimage です。メディアは setbootkey で登録されている、 ブートキーに従います。 parameter: Linux起動パラメータを指定できます。 省略可能です。省略した場合はEEPROMに登録されているカーネル起動パラメータを採用します。 ※現在のブートキーやカーネル起動パラメータはコマンド config で確認できます。 例: >>boot rom >>boot cf:zimage console=ttySC0,115200 root=1f02 rootfstype=jffs2 ○カーネルやルート ファイル システム をバックアップする ・コンパクトフラッシュに保存する。 1.FAT16またはFAT32フォーマットされたコンパクトフラッシュを用意します。 2.空いているCFソケットにセットします。(説明はcf0とします) 3.ディップスイッチ1がOFFになっていることを確認します。 4.ターゲットボードの電源を投入します。 5.カーネルやルート ファイル システムをコンパクトフラッシュへコピーします。 例:カーネルをコンパクトフラッシュへ保存する場合 >>cp rom:kernel cf: >>cp rom:zimage cf0:zimage_051201 例:ルート ファイル システムをコンパクトフラッシュへ保存する場合 >>cp rom:rootfs cf: ・シリアル通信(zmodem)を使って、ファイルをホストPCに転送する。 1.ディップスイッチ1がOFFになっていることを確認します。 2.ターゲットボードの電源を投入します。 3.カーネルやルート ファイル システムをホストPCへ送信します。 例:カーネルを転送する場合 >>sz rom:kernel >>sz rom:zimage 例:ルート ファイル システムを転送する場合 >>sz rom:rootfs 4.ホストPC側で zmodem の受信を開始します。 ○カーネルやルート ファイル システム を更新する ※内臓フラッシュROMを書き換える場合は必ずバックアップをとってから行ってください。 ・コンパクトフラッシュを使用して更新する。 1.FAT16、FAT32、またはEXT2フォーマットされたコンパクトフラッシュを用意します。 2.ホストPCを使って、更新するカーネルファイルや、ルート ファイル システムを 用意したコンパクト フラッシュへコピーします。 ※FATの場合は必ずルートディレクトリへコピーして下さい。 3.空いているCFソケットにセットします。(説明はcf0とします) 4.ディップスイッチ1がOFFになっていることを確認します。 5.ターゲットボードの電源を投入します。 6.コマンド admin を実行して、管理者モードへ移行します。 ※パスワードは ”silinux”です。 5.カーネルやルート ファイル システムを内臓フラッシュROMへ書き込みます。 例:カーネルを更新する場合 #>cp cf:zimage rom:kernel #>cp cf:boot/zimage rom:zimage 例:ルート ファイル システムを更新する場合 #>cp cf:rootfs rom:rootfs ・シリアル通信(zmodem)を使って、更新する。 1.ディップスイッチ1がOFFになっていることを確認します。 2.ターゲットボードの電源を投入します。 3.ホストPC側で zmodem の送信コマンドを使用し、カーネルやルート ファイル システムを ターゲットボードへ送信します。 例:ホストPCがWindowsでターミナルソフトにTeraTermを使用している場合 ファイル−転送−ZMODEM−送信 で、ファイル選択ダイアログが表示されます。 転送を行うカーネルやルートファイルシステムを選択して下さい。 ターゲット側で自動的に rz コマンドが実行され、受信が始まります。 受信が終了するとRAMDISKに保存されます。 4.コマンド admin を実行して、管理者モードへ移行します。 ※パスワードは ”silinux”です。 5.RAMDISKに保存されたカーネルやルートファイルシステムを内臓フラッシュROMへ書き込みます。 例:カーネルを更新する場合 #>cp ram:zimage rom:kernel #>cp ram:zimage rom:zimage 例:ルート ファイル システムを更新する場合 #>cp ram:rootfs rom:rootfs ○時計を合わせる ・現在の日時を表示する コマンド date で表示できます。 >>date RTC clock :2005/12/22 17:25:08 ・日時を設定する コマンド setdate で設定できます。 設定方法 >>setdate 2005/8/2 12:30:00 パラメータ中の '/' と ':' で日付と時間を識別しますので、省略表記が可能です。 >>setdate 12:30 ':'がひとつの場合は、時:分と判断します。 >>setdate 8/2 '/'がひとつの場合は、月/日と判断します。 ○コンパクトフラッシュやRAMディスクのファイルを確認する コマンド dir でメディアの一覧や、メディア内のファイルの一覧が表示出来ます。 ・メディアの一覧を表示する 引数なしでコマンド dir を実行すると、メディアの一覧が表示されます。 コンパクト フラッシュ ソケットに何がセットされているか確認できます。 >>dir Device list ROM: (8.0MB) flash rom RAM: (31.96MB) ram disk CF0: (30.60MB) SanDisk SDCFB-32 FAT16 CF1: ---- CF2: ---- ・ファイルの一覧を表示する コマンド dir でメディア指定をすると、ファイル一覧が表示されます。 EXT2フォーマットのコンパクトフラッシュの場合、サブフォルダが指定できます。 '/'で区切ってディレクトを指定できます。 指定されたファイルがディレクトリの場合、そのフォルダの中にあるファイルの一覧を表示します。 >>dir cf0:usr/local/bin >>dir cf0: 2005/12/17 17:15:36 876544 zImage26 2005/11/10 00:11:40 876544 zImage-ide 2005/12/20 17:30:08 1191936 zImage-cat760 2005/12/21 23:18:06 53616 BOOT.BIN 12925440B (12.32MB) Free / 15925248B (15.18MB) Disk ○その他の機能 ・ファイルを削除する コマンド rm でファイルを削除することができます。 書式は rm filename です。 filenameで指定されたファイルが削除されます。 ※指定されたファイルが内臓フラッシュROM(rom)の場合、そのファイル(パーティション) のイレースになります。 ※フラッシュROMのイレースとは、全てを0xffで初期化することです。 例: >>rm cf:zimage >>rm rom:zimage ・メモリの内容を16進表示する コマンド dump でメモリの内容を16進表示できます。 書式は dump startaddress,length [-] です。 startaddressで指定されたアドレスからのメモリ データを16進表示します。 lengthは表示するバイト数です。省略可のです、省略した場合512になります。 最後に'-'を付けると、表示が終わった後、コマンドを終了しないで、キー入力待ちになり、 キーを押す度に、続きのアドレスからの表示を繰り返します。 '-'で繰り返し表示から抜ける時は、[ESC]、[e]、[q]のいずれかのキーを押すとコマンドを終了します。 ※startaddress、length、は16バイトアライメントされます。 例: >>dump 10000 ADDRESS : 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 0A 0B 0C 0D 0E 0F | 0123456789ABCDEF --------:-------------------------------------------------|----------------- 00010000: 1D D1 0E 41 10 C7 10 D2 20 30 23 89 08 32 18 D0 | ...A.... 0#..2.. 00010010: E0 E1 19 20 0E D3 03 61 28 31 12 64 11 55 12 56 | ... ...a(1.d.U.V 00010020: 13 57 14 58 15 59 16 5A 17 5B 42 20 51 10 62 10 | .W.X.Y.Z.[B Q.b. 00010030: 73 10 84 10 95 10 A6 10 B7 10 36 30 E0 70 EC 8D | s.........60.p.. 00010040: E0 71 02 D0 2B 40 09 00 48 00 80 8C 54 00 80 8C | .q..+@..H...T... 00010050: 00 00 80 8C 07 D1 06 D2 00 E0 06 21 10 32 FC 8B | ...........!.2.. 00010060: 06 D0 02 6F 06 D0 0B 40 09 00 06 D0 2B 40 09 00 | ...o...@....+@.. 00010070: 00 60 8D 8C 3C 24 8E 8C F0 00 00 40 94 25 80 8C | .`..<$.....@.%.. 00010080: 50 17 80 8C 00 20 00 8C 09 00 09 00 09 00 09 00 | P.... .......... 00010090: 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 | ................ 000100A0: 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 | ................ 000100B0: 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 | ................ 000100C0: 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 | ................ 000100D0: 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 | ................ 000100E0: 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 | ................ 000100F0: 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 09 00 | ................ ・コンパクトフラッシュの内容を16進表示する コマンド cfdump でコンパクトフラッシュの内容を16進表示できます。 使い方は dump と同じです。 ○コマンド説明 ・help − ヘルプ表示 説明:ヘルプを表示します。 書式:help [command] パラメータを省略すると下記のメッセージを表示させます。 パラメータにコマンドを指定すると、そのコマンドのヘルプが表示されます。 help [command] The usage of the specified command is displayed. -------------------------------------------------- help ... print this message boot ... start linux kernel config ... show config setparam ... set parameter of boot of kernel rz ... receive zmodem sz ... send zmodem date ... print H/W clock setdate ... set H/W clock dir ... print list of file cp ... copy file rm ... remove file setkernelsize ... set kernel size setbootkey ... set boot key admin ... administrator mode dump ... dump cfdump ... dump compact flash -------------------------------------------------- Version: 1.0 Dec 27 2005 20:12:52 ・boot − Linuxの起動 説明:linuxを起動させます。 書式:boot [kernelfile bootparameter] ・config − 設定情報確認 説明:ターゲットボードに登録されているパラメータを表示します。 書式:config ・setparam − カーネル起動パラメータの登録 説明:カーネル起動パラメータを登録します。 書式:setparam bootparameter ・rz − ZMODEMファイル送信 説明:ZMODEMを使用しホストPCへファイルを転送します。(シリアル通信) 書式:rz ・sz − ZMODEMファイル受信 説明:ZMODEMを使用しホストPCからファイルを受信します。(シリアル通信) 書式:sz filename ・date − 日時表示 説明:現在のハードウェアクロックを表示します。 書式:date ・setdate − 日時設定 説明:ハードウェアクロックを設定します。 書式: yyyy/mm/dd hh/mm/ss ・dir − メディア/ファイルの一覧表示 説明:メディアの一覧やファイルの一覧表示を行います。 書式:dir [media:] ・cp − ファイルのコピー 説明:ファイルのコピーを行います。 書式:cp source destination ・rm − ファイルの削除 説明:指定ファイルを削除します。 書式:rm filename ・setkernelsize − カーネルサイズの登録 説明:カーネルサイズの登録を行います。 書式:setkernelsize kernelsize ・setbootkey − ブートキーの登録 説明:ブートキー(起動メディア)の登録 書式:setbootkey media: ・admin − 管理者モードへの移行 説明:管理者モードへ移行します。(rom:に対しての書き込みを可能にします) 書式:admin ・dump − メモリの表示 説明:メモリの16進表示 書式:dump startaddress[,length -] ・cfdump − コンパクト フラッシュ の表示 説明:cfの中身を16進表示します。 書式:cfdump startaddress[,length -]